ジオターゲティングとは?配信の仕組みやできること、注意点を紹介
位置情報を活用した広告配信「ジオターゲティング」。
今回は、ジオターゲティングとは何か、広告の仕組みや活用法について詳しく解説します。
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ジオターゲティングとは
ジオターゲティングとは、ユーザーの地理的な位置情報を利用して、特定の地域に合わせた情報や広告を配信する技術のこと。例えば、特定の商圏内のユーザーだけに店舗集客用の広告配信が可能となります。
従来の広告配信では年齢や性別、興味関心などの属性情報をベースにしたターゲティングが主流でしたが、ジオターゲティングはこれに「位置情報」を活用してターゲティングをおこないます。特に実店舗を持つビジネスにとっては「今、店舗の近くにいる見込み客」に直接アプローチできる点は魅力的なポイントですよね。
リアルタイムの位置情報以外にも、移動履歴などを取得してユーザーの行動や趣味趣向に合わせた広告を配信できます。
例えば、広告を出す店舗に近い場所に住んでいるユーザーや、通勤通学で頻繁に近くを通るユーザーなどを狙って広告を出す、といった使い方が可能。認知拡大・潜在層へのアプローチが得意なターゲティングです。
ジオターゲティングの仕組み
ジオターゲティングではどのようにして位置情報を取得し、広告配信に活用しているのでしょうか。ここでは主な仕組みを解説します。
Wi-Fi:Wi-Fiスポットの位置情報データベースを利用して位置を推定。
携帯電話基地局:携帯電話の電波が届く範囲からおおよその位置を特定。
IPアドレス:ネット接続時のIPアドレスからおおよその地域を特定。
これらの情報を広告プラットフォームが収集・分析し、「このユーザーは今、この場所にいる(またはよく訪れる)」という情報をデータベース化します。
広告配信する際は「〇〇駅から半径2km以内にいるユーザー」や「過去1週間以内に△△ショッピングモールを訪れたユーザー」といった条件を設定することで、特定のターゲットだけに広告を配信できるわけですね。
精度の面ではGPSが最も高く数十メートル程度の誤差で位置を特定できますが、ユーザーが位置情報の取得を許可している必要がありますし、屋内で精度が低下する側面も。一方、IPアドレスは精度が低いものの、特別な許可なく取得できるため幅広く活用されています。
配信媒体の例
以下のようなWeb広告媒体でジオターゲティングが利用可能です。
- Google広告
- LINE広告
- マイクロアド
Google広告
Google広告では検索広告やディスプレイ広告、YouTube広告など、複数の広告形式で以下のようにジオターゲティングを活用できます。
- 国や地域、都道府県、市区町村レベルでのターゲティング
- 指定した地点から半径○km以内のユーザーへの配信
- ビジネスの商圏に合わせたカスタマイズエリアの設定
- ユーザーの「現在地」または「頻繁に訪れる場所」を基準としたターゲティング
種類が豊富なGoogle広告では、位置情報のみではなく、Googleが提供するサービスと組み合わせたジオターゲティングが利用できます。
過去にGoogle広告を利用したことがある方や、Googleビジネスプロフィールを利用している方は、これまでの運用データを連携して配信の精度を向上させることが可能。例えば、複数の店舗がある場合もビジネスプロフィールにそれぞれの店舗情報を登録しておくことで、広告を配信する際に一つ一つエリア設定をおこなわずに配信できます。
LINE広告
LINEは日常的に利用するメッセージアプリ。そのため、年齢層が幅広くユーザーのアクティブ率が高い点は魅力です。
LINEのメッセージアプリ内や、LINEが提供する各種サービス上に広告を配信でき、ターゲティングも豊富なLINE広告ではジオターゲティングも可能。主な特徴は以下の通りです。
- 都道府県や市区町村単位でのターゲティング
- LINE特有のユーザー行動データとの組み合わせ(「〇〇県在住で△△に興味があるユーザー」など)
- 位置情報と年齢・性別などの基本属性を掛け合わせたセグメント配信
マイクロアド
国内有数のDSP(広告配信プラットフォーム)であるマイクロアドでもジオターゲティングを提供しています。
- 緯度・経度を指定した「ジオフェンス広告」の配信
- 過去の位置情報履歴を活用した「行動ターゲティング」
- 位置情報と各種ビッグデータを組み合わせた独自のセグメント
マイクロアドの特徴は、位置情報データの分析精度の高さと豊富な広告在庫(広告枠)へ配信できる点。特に「競合店舗に訪れたユーザー」や「特定のイベント会場に足を運んだユーザー」など、独自の行動データに基づいたセグメントが充実している点は魅力的です。
ジオターゲティング広告の費用
ジオターゲティングを活用した広告の費用はどの程度見込めばよいのでしょうか。
ジオターゲティング広告自体に特別な料金体系があるわけではなく、通常の広告と同様に主に以下の課金方式が採用されています。
課金方式 | 内容 |
インプレッション課金(CPM) | 広告が1,000回表示されるごとに課金 |
クリック課金(CPC) | 広告がクリックされるごとに課金 |
成果報酬課金(CPA) | 申し込みや購入などの成果発生ごとに課金 |
費用の目安としては、例えばGoogle広告の場合、クリック単価は業種や競合状況によって大きく異なりますが、一般的には100円〜500円程度が多いでしょう。月間予算としては、最低でも10万円程度からの出稿が一般的です。
そこにジオターゲティングを追加すると、ターゲット層が絞られるため、通常の広告と比べてリーチ数は減少する傾向があります。その分、広告の関連性が高まり、クリック率や成約率の向上が期待できますが、地域を狭く設定しすぎると十分な配信量を確保できなくなる可能性もある点に注意が必要です。
ジオターゲティングでできること
ジオターゲティングを活用することで以下のようなことが可能となります。
- 地域密着型の広告配信
- ユーザー動向の計測
- 配信コストの削減
地域密着型の広告配信
ジオターゲティング広告は位置情報を生かした配信によって、実店舗への来客促進を得意としています。
店舗から半径○km内にいるターゲットユーザーチラシのように広告を配信するといった地域密着型の広告施策が可能です。
ユーザー動向の計測
ユーザーの位置情報から広告を見たユーザーが実際に店舗に訪れたかどうか計測することができます。
広告をクリックしたユーザーだけでなく、表示されたがクリックしなかったというユーザーも計測可能。データを分析することで、「平日の夕方にオフィス街で広告を出稿すると、週末の来店につながりやすい」といった仮説検証が可能になります。
配信コストの削減
広告は、配信するユーザーの範囲が広くなるほどかかる費用が大きくなります。
エリアを絞り込むことで顧客化の見込みの薄いユーザーを除外し、実際に来店可能な範囲にいるユーザーのみに配信することで広告コストを軽減することができます。
特に中小企業やローカルビジネスなど、大手と比べて広告予算に制約がある場合こそ、ジオターゲティングを活用した効率的な予算配分が重要になってくるでしょう。
ジオターゲティングと相性が良いケース
ジオターゲティングは、レストラン、美容院、ジムなど、実店舗がある場合に効果的なターゲティングです。同様に、地域が限定される旅行関係やローカル特化型の情報メディアも有効ですね。
逆に言えば、実店舗が持たずに商品・サービスの提供をおこなっている場合は、ジオターゲティングで広告を配信しても十分に利点を活かしきれないでしょう。
そういった場合は、ユーザー属性から配信対象を絞り込むデモグラフィックターゲティングやリスティング広告の利用をおすすめします。リスティング広告とは、検索キーワードに応じて表示できる検索連動型広告です。
ジオターゲティング広告のメリット・デメリット
ジオターゲティングの活用を検討する際はメリットとデメリットをしっかり理解しておきましょう。
ジオターゲティング広告のメリット
ここではジオターゲティング広告の主なメリットを4点ご紹介します。
1. 高い広告関連性によるパフォーマンス向上
ユーザーの位置情報に基づいた広告は、通常の広告よりも関連性が高いため、クリック率やコンバージョン率の向上が期待できます。特に「今すぐニーズに応えられる」という即時性がある場合の効果は顕著。例えば、お昼時に「あと5分で着く場所にランチ情報」が表示されれば、ユーザーの反応は高まるでしょう。
2. 無駄な配信の削減による効率化
来店やサービス利用が物理的に難しいエリアへの広告配信を避けることで、広告予算の無駄遣いを防止できます。全国チェーンであれば、各店舗の商圏に絞った広告配信により、1店舗あたりの集客効率を向上させることが可能です。
3. オンラインとオフラインの接続
デジタル広告とリアル店舗の来店を紐づけて計測できるため、広告の直接的な効果測定が可能になります。「この広告を見たユーザーが実際に何人来店したか」という指標は、特に実店舗ビジネスにとって非常に有益なデータですよね。
4. ローカライズされた広告コミュニケーション
地域によって異なるニーズや文化的背景を考慮した、きめ細かいメッセージングが可能になります。例えば、北海道と沖縄では同じ商品でも訴求ポイントを変えるなど、地域特性を活かした広告クリエイティブを展開できるのは大きな強みですね。
ジオターゲティング広告のデメリット
一方で、ジオターゲティング広告にも次のようなデメリットがあることを抑えておきましょう。
1. 位置情報の精度に関する課題
GPS、IP、Wi-Fiなど、位置情報の取得方法によって精度が大きく異なります。場合によっては誤差が生じ、意図したターゲットにリーチできないケースもあります。特に屋内や地下では位置情報の精度が低下するため、例えば地下商業施設などでは効果が限定的かもしれません。
2. 配信量の確保が難しいケース
ターゲットエリアを狭く設定しすぎると、十分な広告インプレッション数を確保できない可能性があります。特に人口密度の低い地方エリアや、B2B向けのニッチな商材では、配信量の確保に苦労することもあるでしょう。
ジオターゲティングの注意点
最後にジオターゲティング広告を配信する際の注意点を紹介します。
- 直接のコンバージョンには繋がりにくい
- ターゲットを絞りすぎると配信が難しくなる
直接のコンバージョンにはつながりにくい
ジオターゲティングによる広告は、自社店舗に興味がありそうなエリア内のユーザーに配信するのが主な使い方です。
そうした潜在層にアプローチするため、広告から直接商品の購入やお問い合わせにつなげるのは難しいのが事実。
コンバージョンの前段階として認知拡大、潜在顧客の顕在化といった用途が得意な広告だと覚えておきましょう。
ターゲットを絞りすぎると配信が難しくなる
地域によっては位置情報データの収集数が少なく、十分な数のターゲットユーザーを狙えないことも。
そのためターゲットを絞りすぎると表示回数が少なくなり、最悪配信されないこともありえます。
ジオターゲティング広告まとめ
今回はジオターゲティングについて解説しました。
ジオターゲティング広告は位置情報を活用してターゲットの絞り込みができる、認知拡大や潜在層のアプローチに便利な広告です。
実店舗の宣伝など地域密着型の施策に向いていますので、そうした業種の方は是非検討してみてはいかがでしょうか。
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